2009年08月31日

鳩山論文 (その1)

民主党が過半数の議席を獲得し、第一党となることが決まってから東京では雨が降り続いている。恵みの雨か・・・天が泣いているのか・・・。大地が震えた。喜びに打ち震えているのか・・・恐怖に怯えているのか・・・。

政権選択という位置づけの下で行われた選挙戦であったとはいえマスコミの一方的な民意形成力とその精度の高さには舌を巻いた。「日本総テレビっ子(日本人はガリブルで横並びの精神を大切にしてくれるからありがたい)」と、ある電通社員が皮肉っていたことを思い出したからだ。

いずれにせよ、国を憂い、限られた選択肢の中で「民主党(比例代表)」に多くの票が投じられた以上、来月の新政権発足後、特に財政面でどういった人材を配置するかいやがおうにも注視せねばなるない。「開かれた政治という名の陰謀( http://worldconspiracies.seesaa.net/article/126792518.html )」という記事で述べたが、どの政党が政権をとっても、日本近代化・戦後復興の中で形成された政治制度の枠組みの中では政治腐敗や利権構造の恒久的根絶を望むことはできない。

そして恐るべきことに、今回の民主党の躍進と鳩山論文は、ある壮大な計画をシナリオ通りに具体化に移す時にきたということを暗に認め、なおかつそれを礼賛するものであり、国際社会における秩序の変容が大規模に起こりつつあることを意味している。

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蛇足になるが、これは同時に、シナリオ通りに、自民党が自ら敗北したことをも意味している。言い換えれば、自民と民主は利害関係の住み分けが唯一の相異であり、今回の選挙戦は、(両者間に一定の合意があった上での)出来レースだった、ということだ。ある大物議員がサーベラス問題を尻目に5月頃から不動産の買い漁りをはじめていたことは、これからも報道されることはないだろうが、このシナリオがいよいよ現実のものとなるという確信があったからこそ成しえたことだと思っている。

詳細に触れることができないので、これでは、いまいち説得力に欠けるかと思うが、他にも、自民党が自ら政権の座を明け渡す準備を長きに渡って着々と進めてきたことを示す「状況証拠」は数限りなくある。日韓トンネルやカジノ構想などはほんの序の口で、これらは単なる政治家の汚職や利権などと斬って捨てることは出来ない問題であるが、日本全土を覆いつくす構造的な腐敗のほんの一部分でしかない。
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では、ある壮大な計画とはなにか・・・。それは「鳩山論文」をよく吟味してみれば、みえてくる。自民党のネガティブキャンペーンを通じて一部民主党の代議士の売国奴っぷりについても広く知られるようになったが、多くの人々が理解に苦しむ「日本解体」についても、単に売国だとか工作・謀略の類として片付けることはできなくなるだろう。それらはすべて壮大な計画の中の歯車に過ぎないのだ。

本題に入る前に断っておくが、わたしは、外国資本の流入とともに始まった藩閥政治の時代から自民党政権が長く続いてきたことで生まれた腐敗的癒着構造は大いに問題であると思っており、国家の危機回避的な政治の残滓とすることで政治の腐敗を肯定するつもりは毛頭ない。

その意味で民主党が2大政党としての地位を確立することに異論はなく、一定の効果を伴う政策を打ち出すことも十分可能だと思っている。しかし、各政党の良し悪しをいうものではないが、今回発足した民主党政権においては、その壮大な計画の実現に向かって、加速度を増しながら、日本を邁進させつつあることを、知っていただきたい。

鳩山由紀夫民主党代表が、投開票を控えた27日付で、ニューヨーク・タイムズ(電子版)にある論文を寄せた。'A New Path for Japan'と題されたもので、既に公開されているものの要約版となっており、反米的ともとれる内容となっているために既に一部知日家から動揺の声がきかれはじめている。

要旨としては、・・・

◎米国主導の市場原理主義、グローバリゼーションに日本はさらされている。

→ワシントンから距離を置くことで、日本政府主導の下で、自由貿易に歯止めをかけつつ国内経済の格差是正に努め、人間の尊厳を回復させたい。

◎対テロ戦争の失敗と経済危機に言及し、混沌としたグローバリズムの時代は近い将来、世界を軍事的・経済的に破綻させる恐れがある。

→多極化の時代に相応しい地域主義的な政治単位を構築し、東アジア地域での通貨統合や恒久的な安全保障の枠組み構築を目指す。

一見すると大変もっともなことが根拠として述べられていられるように見えるが、彼が突如として海外のメディアに向けて発したこのメッセージの真意を以下に、噛み砕きながら示したいと思います。

まず1点目が現実となればどうなるかといえば、日本が輸出依存度の高い産業を基幹にもっている以上、国民経済の水準は全体として押し下げられ、中長期的には、国債発行額がさらに膨れ上がることは免れません。株価下落により日本企業は叩き売りされる可能性を孕んでいるばかりでなく、彼自身の懸念であるはずの経済危機や世界経済の破綻を招きかねません。二番底へ落ち込めば、日本は国際社会でのプレゼンスを大きく失うことになります。

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鳩山論文だけ見れば、こうなる前に円高でのペッグもありえるでしょうが、むしろ、もっと自然な形を選択肢として想定していると思います。つまり、日本経済が打撃をうけたところで言外の目的での政府の市場への介入が考えられます。

(先般の解散時の「市場原理主義経済との決別・・・」という麻生総理の発言を、ぶっつり切って放送しなかったのは記憶に新しいと思います。もっとガッツリやる気なのでしょうか。)

(打ち合わせどおり)既存の外資には退場してもらうなどして資本の空洞化を起こし、円安に拍車がかかる状況下で、貿易経常収支で一定のバランスをとることになると思われます。

これは売国行為とよぶべきものですが、日本の製造業ばかりでなく世界の日本企業に対する助け舟でもありますから賛否両論起こるでしょうが、テレビで世界経済云々の大合唱をすれば済む話です。日本国民は従順にして「ガリブル」だからです。

日本経済の水準が下がろうが、動じず、前向きに、古きよき日本の象徴である「一億総中流」とでもいっておけば納得させるのは実にたやすいことです。高度成長の時代を支えてきたお年寄りが世論の大多数なのですから。人間の尊厳をどう考えているのでしょう。

そうして、見境なく手当てという名目でバラマキ、公務員にかかる税負担が天下り廃止によって逆にふえ、日本の国際競争力がさらに低下してももう誰も文句はいわないでしょう。政権政党たる責任を果たしているかのように国民の目には映るでしょうから。

「自由と平等が拮抗する社会において、友愛が唯一の架け橋」とか何とかいったそうですが、なんとお粗末なことか。自由放任型の市場主義経済になんくせをつけてみせて自己陶酔気味のおぼっちゃんは、完全競争を担保することでのみ平等をはかれるということを棚に上げてしまい、政治家の無能をさらしているのですから。温室育ちで何不自由なく育ったのでしょうから、無理もないことでしょうが。滑稽この上ございません。
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同時に、対米関係が(表面上)急速に悪化し、安全保障上の問題が噴出することが考えられますが、更に悪いことに、国際世論の中にあって、このような行動が世界経済のダイナミズムに与えるインパクトと被害は計り知れないものであり、日本は孤立化しかねません。(一度こうなってしまえば愛国者ですら東アジアに幻想を抱きかねません。)

相互依存度を増しながら平和を維持してきた先進各国にとっては、世界経済の混乱は安全保障上の問題に発展しかねないことを肝に命じておかねばなりません。しかもここでグローバル政府の雛形こと「国連」が存在感を増すのですから、もう・・・最悪。

日本国家の主権の放棄を堂々と謳い、一方で民主党としてはマニフェストとして地域主権、地方外国人参政権などを公約に掲げているわけですから(これらは単なるフェイクかカモフラージュの類で単なる伏線でしょうが)自民党政権から引き継がれてきた国籍法の改訂に伴って予想される弊害として主権者である「日本国民」という定義の変質と、国土を含めた日本国主権概念の解体へと確実に向かうことになります。平和ボケの赤鬼さんたちと憲法論議をするつもりはありませんが、グローバリゼーションが加速度的に進む今こそ唯一の純粋な国民国家としての矜持を代議士をはじめ我々国民がもつならば、国は人なればこそ、皇室のもつ価値を史実に照らして我々の手によって再度評価しなおすなど、国のあるべきを問い直すべきであると考えます。

最終的には、ブロック経済の再来である地域主義の上位に悪しき「国連」というものを想定せざるをえないことから、あくまでも平和的に、あるいは必要に迫られて、という体裁でこの2点目を実行に移すことを見据えており、テロ(と戦争)や環境(とビジネス)などの外部性利用によるマネー経済を創出しつづける土壌を維持することを宣言することにより、「世界統治者」との政治的なバーゲニングを狙っていると考えてよいと思います。

どういう条件(順序・段階・体裁・タイミング)で1点目を達成していくことになるのか、財源の洗い出しをしていく事業仕分けの出来不出来にもよるでしょうし、現段階では明確にはわかりませんが。

いずれにせよ、これで、いよいよ、東アジア諸国が日本に蓄積された富を、共有する(こっそり、かつ、ごっそり、強奪する)準備は整うわけです。ここで最も重大なのは、日本政府を除いた日銀の実質的所有権者である者が、アジア通貨・安全保障共同体の実現が不可避であると考えているのは間違いないということです。単純に、東アジアの結束を壊すことで暴利をむさぼる利権でしかないと思ってはいけません。まったく、注文の多い料理屋さんですこと。

新世界秩序の完成ためには慎重かつ大胆に、そして確実に着実にコトをすすめなければならないのです。要するに自作自演の騒ぎを起こしつつ、合意を形成したり、選択肢を潰したりしながら、最終的に「はじめから望ましい」選択肢が残るように画策するわけです。

世界が軍事的にも経済的にも破滅へと歩むのは避けなければなりませんが、鳩山論文は破滅への回避を訴えるのではなくアジアにおける通貨統合や安全保障の枠組みの構築が最終的に不可避であることを正当化するためのものであり頭数が多いだけで大国とは名ばかりの中国とその子分と一緒にそんなものを組成すれば、日本の被る不利益は計り知れないばかりか、文化圏の均質化や、更には歴史が証明したはずの世界経済ブロック化により文明間の衝突は避けがたいものとなるでしょう。

共同体が軍事力を保持するという点で、戦火を伴った衝突に発展すれば、戦争の惨禍は前例が無いほどのものになるのは間違いない以上、これはワンワールド政府に正当性を与えるものに他ならない。
posted by 精神の貴族 at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) |  鳩山論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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